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今回は、第5回のサイボウズ超会議だったのですが
私は参加出来ませんでした。Zoho Japanの松本さんにセミナー内容を教えてもらいました。
ちなみに、ZOHOは中小企業向けのクラウドサービスで
CRMや、見積・請求などが簡単に利用できます。
ZOHO
http://www.zoho.jp/
折角なので、第5回もまとめておきたいと思います。
第1回目は、マーケティング編
第2回目は、営業戦略&パートナー戦略編
第3回目は、人事戦略編
第4回目は、経営戦略編でした。
今回は、技術戦略編でサイボウズ株式会社の共同設立者
(英語でいうところのco-founder)の畑慎也さんにお話を頂きました。
とても参考となるセミナーだったのですが、今回は残念ながら
いつも詳細にまとめてくださる植草さんが不在でした…
自分の方では、代わりとまではなかなかいかないですが、
このままだと伝説になってしまいかねませんので、
一部だけでもまとめさせていただきます。
迂闊にも、写真等をまったく撮っていなかったのでスライド画像等がなく、
以下テキストが続きますが、想像力で補って頂ければ幸いです。
今回は第5回、技術戦略編でしたが初回参加者の率は4割程度。
属性としては意外にCTOの方は少なく、技術系以外の方も
多くいらっしゃったようでした。
なお、今回の司会もインクルージョン・ジャパンの服部さんでした。
<第1部> 「サイボウズの開発の歴史」
畑さんの経歴
第一部は「サイボウズの開発の歴史」。まず畑さんの自己紹介から。
サイボウズ株式会社の共同設立者であり、現在は取締役、
及び、サイボウズ・ラボ株式会社の代表取締役。
ご自身では、技術戦略というほどのものはないので
自己紹介等を通じて、適宜背景等を読み取ってくださいと謙遜して仰っていましたが、
その後のお話は、戦略的な考え方としても大変参考になるものでした。
小学校の頃にお父さんが、パソコンを買ってこられたのがきっかけで
興味を持つようになり、中学校や高校でも継続して探求。
BASICでプログラムを書いたりしながら、
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズの物語にも触れるようになる。
ちなみに、中学校や高校の頃のパソコンは、8ビット機や
16ビット機だったということで、このあたりの話は詳しい方々で
話したりすると、すごい盛り上がるとのこと。
その後、大学の研究室で現社長の青野さんと出会う。
就職ではプログラミングができるような仕事を探し、ジャストシステムに就職。
2年間勤めてその後退社して起業となりましたが、
ジャストシステムで、フレームワークの開発に携わったことが
後のサイボウズの開発にも活かされた。
サイボウズOfficeのリリース
会社設立から製品リリースまでは、97年8月に登記した後、9月にβ版をリリース。
そのすぐ後の10月には製品版をリリースして販売を開始。
これまでのサイボウズ超会議でも触れられていましたが、
当初からそのままいくと、1年間しか持たないような資金計画だったため
早くリリースして、早く売上を立てて早く資金を得ることが必要だった。
畑さんはCTOという役割。CEOとCOOとCTOの3人の会社で、
CTOといっても開発は1人しかいない。
ただ、3人で明確に役割分担をして畑さんが開発に集中できたのは
良かったではということ。
ちなみに会社の立ち上げからのフェーズの推移とそれぞれのフェーズで果たすべき
CTOの役割を表す図があるが、設立当初の役割は「Programming」と書いてある。
開発ばっかりやってたのは、これに則れば正しい。
サイボウズOfficeの開発については、当初からフレームワーク部分と
アプリケーション部分に、分けた設計を行った。
これが、後から開発者や製品が増えた時に役立った。
同じフレームワーク上で、デヂエやメールワイズも開発。
立ち上げ時期はとりあえず作るのが重要という側面もあるが、
コメント、コンポーネント化、テストコード、内部仕様書などいろいろあるが、
どこまで将来的なチーム開発を意識するべきかもポイント。
顧客ニーズの把握
製品開発においてはニーズの把握をどうするかが大事。
最初はお客さんが少なかったので要望が少なく、思い込みで
作った部分も多かった。自分たちが欲しいものを作ったという側面もある。
スタートアップの時期でターゲットがそれほど広くないフェーズでは、自分たちの
仕事スタイルをターゲットにあわせると、ニーズを把握するのが楽になる。
ただし、自分たちの仕事スタイルが特殊だと広がりがなくなるので、
なるだけ普通になるように特殊すぎないようにする必要はある。
このあたりの感覚をつかむために、エディターとかではなく
ビジュアルスタジオを使ったり。
スタートアップの時期に開発で必要なスキル
今で言うフルスタックエンジニア?つまり器用貧乏?
大きなことから小さなことまで、(ヤンマーディーゼルのように)
対応していく必要がある。
サーバーサイドからクライアントサイドまで、プロジェクト管理から
不具合管理まで、要件検討から内部仕様設計まで、
インストーラーからライセンス管理までと多岐にわたる。
畑さんが扱う言語もWindows系のものからiOS系のもの、
サーバーサイドからクライアントサイド、データベースまで幅広い。
バージョンアップ
製品のバージョンアップはどのように行われていたか。
フィードバックの経路は、ユーザー(営業、サポートを通じて)、社内ユーザー等。
フィードバックを検討する際に重要なことは、言葉をそのまま信じてはいけない
ということ。
例えば、「サイボウズ使いにくくなった」という声があった場合に、
実際には、その方が使っていた機能自体がなくなっていたり、
変更されている場合がある。
すなわち、UIの問題ではなかったりする。
本質は何なのかということを分析する必要がある
また、トレンドについて、B2Bの場合、最新のトレンドを追うのが
必ずしも良いとは限らない。長い目で見ると当然追っていかなければならないが、
特に、UIの場合は変わること自体で使いにくくなったと判断される場合がある。
例えば、Ajax対応にしたら、戻るボタンが使えなくなったじゃないか
と言われる(※これは個人的にもすごいあるあるでした…)。
もしくは、システム管理者にとってユーザーへの教育コストが
増える結果となる場合もある。このあたりを踏まえて、慎重に見極める必要がある。
「最近の○○はダサいよね」と言われても時には我慢しなければならないことも
あるのである。
人材獲得の話
会社が成長してくると人が足りなくなってくる。まずは知人を誘う。そして知人の知人など、最初はつながりベース。
知人を誘う時のコツとしては、こちらの能力についての
絶対的な信頼を勝ち取ること。
こいつと一緒にやるのであれば、大丈夫かなと思ってもらうこと。
ただ、当時はスタートアップ自体に対する見方も
厳しかったので、今の時代はまた違うかもしれない。
エンジニアが増えた時の立ち位置
狭く深くでも、広く浅くでもなく、「広くそこそこ深く」。立ち上げからずっと自分が携わっていたが、人が増えてくると
特定の分野のスペシャリストが来るようになる。これは喜ばしいことではあるが
過去に、自分が書いたコードのダメ出しを受ける。
「ごもっともです」となって凹む。しかしこれはチームが
成長したことの証拠ですので喜びましょう!と前向きに考える。
ちなみに新入社員の研修で、今年の新卒はサイボウズOfficeの
コードより、きれいなコードを書くと言われたりもする
(サイボウズOfficeの中にはまだ畑さんが書いたコードがわりと残っていたりする)
が、そういうこともある。
立ち上げの頃から、人が増えて展開してきた時の考え方までカバーして
畑さんのお話は一段落。
<第2部>「CTOあるある」
第2部は「CTOあるある」ということで、畑さんに加えて
株式会社オモロキ最高技術責任者兼取締役の和田裕介(ゆーすけべー)さんとの
対談風味のお話。ファシリテーションはサイボウズ・ラボ株式会社の竹迫良範さん。
まずは和田さんの自己紹介&サービス紹介。サービスはボケてについて。
株式会社オモロキの本社は熱海で合宿ができるスペースもある。
和田さんは普段は横浜にいて、こういう講演や打ち合わせ等の機会で
東京に週3回くらいは出てきている。リモートでコミュニケーションをとりながら
業務を進めていて十分になりたっている。
2008年サービス開始から鳴かず飛ばずだったが、忘れもしない
2012年5月12日にサーバーの負荷が上がったよというアラートが出まくる。
アクセス解析を見ると、急にページビューも上がっている。
これはいわゆる、スラッシュドット効果ではない
(ニュースサイト等に出たから一気に増えたわけではない)。
リリース後からコアなユーザーさんの投稿が蓄積していて、その中には
面白いボケがもともとたくさんあった。それがNAVERまとめや2chまとめで
いきなり表に出てアクセスが止まらなくなった。背景にあったのは
コンテンツは蓄積するということ。
ボケての開発については、アプリの開発が中国で行われたりしていて
インターナショナルな面も。本体部分をAPIに対応させておくことで
それを使って、他の部分が開発を進めていけるようになっている。
開発作業自体は、和田さんがメインでやられていたが、最近新しいメンバーに
少しずつ移管している。
その後、竹迫さんのファシリテーションで対談と質問。
いくつかトピックがありましたがその1つでメンバー構成の話。
畑さんと青野さんは大学の同級生、オモロキのメンバーも同じ大学出身。
レベル感が合って進めやすいという面もある。
以上です。
懇親会 風景
まとめ
今回も、とても参考となる内容でした。立ち上げ期からその後会社が発展して
技術者が増えてきた時期など、それぞれのフェーズでCTOが果たす役割の実例が
リアルに語られていました。
フェーズごとに、自らの立ち位置をチューニングしていくことの重要性も
改めて感じる機会となりました。このあたりは技術者に限らない話ではありますが、
プログラミングの世界独特の難しさもあるなと感じました。
なお、若干余談気味ではありますが、「広くそこそこ深く」という話をうけて
以下のブログ記事を思い出しました。
器用貧乏から器用長者へ
http://hokuohkurashi.com/note/5951
畑さんがこうだということではないですが、広くそこそこ深くの方面に行くとすると
だんだん、こういう方向性になるのかなとも思いました。
途中でも最後の方でももっといろんなトピックがあったのですが、
全体を十分にまとめられず恐縮です…個人的に気になったことや
印象に残ったことがメインですが、少しでも参考になれば幸いです。
ということで、ZOHO松本さんにサイボウズ超会議 第5回をまとめてもらいました!
私は参加出来なかったので、とても参考になりました。
松本さんは写真を撮ってなかったとのことだったので
サイボウズ式 編集長の大槻さんに写真をもらいました!
サイボウズ式
http://cybozushiki.cybozu.co.jp/
みなさんの参考になれば♪